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1996年生まれによる短歌同人誌「ぬばたま」
2018年11月発行の第三号です。
〇同人連作
乾遥香 「Iris」30首
初谷むい 「光の光たる」30首
廣川ちあき 「トマト缶のある自炊風景」16首
久間木志瀬 「飛ぶみたいだね」15首
坂本歩実 「歪んだ中指」13首
松岡礼慈 「絶望が」13首
大橋なぎ咲 「町の名前」10首
加瀬はる 「栞の痕」10首
九条しょーこ「満」10首
越田勇俊 「八月」10首
佐藤廉 「slowdancinginthedark」10首
関寧花 「心気症」7首
●テーマ詠「赤」
●一首評
●前号評
堂園昌彦 『「ぬばたま」第二号を読む』
〇特別企画「大学短歌バトル2018全首評」
乾遥香×岐阜亮司
●●第三号掲載連作より●●
黒いソファをしつらえた人ありがとう今の気持ちにすごく似合って
昼の鳩 たとえ行くなと言われればどこにも行かないのに 夜の鳩
泣きながらわたしは無料じゃないことを有料でもないことを泣きながら
微笑みつつ話せば過ぎたことになる怒りすべてについてくる月
-乾遥香「Iris」
『制服の白いラインが蛍光で世界が終っても光ってる』
よろしくねあたし二次元の女の子おなかは空かないけどここにいる
グッモーニン人生どうでも飯田橋人生どうにか鳴門大橋
おそいってあたらしいってことでしょうあたらしくいるからここに来て
-初谷むい「光の光たる」
ああこんなものがきれいだスーパーの何か冷やしていた氷水
桃とラムネてんでに売れてゆくどれもぼくとは関係ない愛ばかり
レッカー車とレッカーされていく車いつか終わるんだと諭されて
-久間木志瀬「飛ぶみたいだね」
生き死にに間違いなんてない夜の歯磨きにひどく時間がかかる
日傘!今は激しい月影を遮るために、山風は死だ。
川を渡るお花畑はいらないと言ってくれれば火をつけたのに
あたしの力で手に入れたんじゃなくってもこれらは全てあたしのものだ
-的野町子「歪んだ中指」
月イチで帰ってくると言われても台風は来て去っていく点
あの店でランチしたとき吹き抜けを一緒に見上げておけばよかった
友達にバイクを買ってあげたいと思う気持ちを相談できる
もし君が去年引っ越ししていたら買ったコップがあると言うだけ
-大橋なぎ咲「町の名前」
半袖の寒きに日なた求めつつうつむけば街の凹凸を知る
葉月尽 レモンサワーに秋が来て酸きこと君にくり返しいふ
酔ふことはたやすき罪科 ぼくたちを雨はしばらく湿らせている
-越田勇俊「八月」
最悪の夢から醒めた真夜中の手がピーナツバターの匂い
暗闇で踊るあなたがあなただとわかる 微熱の祝日は雨
-佐藤廉「slowdancinginthedark」
▽▽既刊について乾のレコメンド 2023.6▽▽
2018年。ぬばたま同人20〜21歳。
連作の一首一首を見返しつつ、基本みんなちょっと怒っているように見えることを「2018年」のように感じます。短歌シーンでいうと川野芽生さんが歌壇賞を「Lilith」で受賞した年です。この後も、この前も、みんなあらゆることに怒っていたわけですが、この年の歌は、怒り方がパーソナライズされていく若干「前」に見える気がします。それぞれの文体が未成熟だからそう見えるだけかもしれませんが。
3月に短歌バトルに出場した乾が、書き手に同じく出場者だった岐阜亮司を巻き込んで行った「大学短歌バトル2018全首評」が第三号のメインの企画です。読み応えも記録としての価値もまあまああると思います。この企画も、一回戦〜エキシビションマッチまでを想定して用意する『出場者3人×8大学×4回戦分の歌と評』が、大変な準備を要するのにもかかわらずほとんど使われずに散逸するトーナメント制という大会のシステムに物申したい、という乾のなんとなく怒りながらの立案でした。徹夜をする体力だけはあった時の、恥ずかしいほど荒削りな批評を……5年後の今見ると大変恥ずかしいですが、リアルタイムで記録しておいてよかったとは思います。
マスクはもう外していいとかなんとか言われていますが、今年も大学短歌バトルは復活しませんでしたね。「角川短歌」では代わりにU-25短歌選手権の2回目が開催されていて、結果発表はまだです。そちらも面白い企画ではあるんですが、在学かどうかではなく「25歳」でバッサリ区切られることを悲しく思います。
ぬばたま同人、現在26〜27歳。第三号と比べると、ずいぶん大人になったような気がします。
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